
2026年7月13日(月)「エビデンスに基づく 効果的・効率的な保健事業の実践セミナー」をオンラインにて開催いたしました。
本セミナーは、保険者様の効果的かつ効率的な保健事業の実施に資する範囲で利活用許諾をいただいたレセプト・健診データといったDeSCヘルスケアが提供する大規模医療データで研究された論文をもとに、健康上のリスクや医療費など医療・ヘルスケアに関するさまざまな課題やそれを解決するための示唆をご紹介し、保健事業の実践に繋げていただくことを目的として定期的に開催しています。
当日は、全国の保険者様から113件のお申込みをいただき、多くのご担当者様にご参加いただきました。

【講演実績】データ分析に基づく制度評価と生活習慣改善へのアプローチ
今回は、社会薬学・薬剤疫学、および糖尿病・内分泌内科学の分野より2名の先生をお招きし、それぞれ「かかりつけ薬剤師制度の評価」と「食習慣と骨粗鬆症リスク」という、効果的な保健事業や指導に直結するテーマについてご講演いただきました。
基調講演Ⅰ:かかりつけ薬剤師っていた方がいいの? ~医療情報データベースの分析から見えてきたこと~

(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 主任研究官 池谷 怜 先生)
池谷先生からは、2016年度より開始された「かかりつけ薬剤師制度」の有益性について、医療情報データベースを用いた客観的な検証結果をご報告いただきました。
【講演概要】
● かかりつけ薬剤師制度とポリファーマシーの課題:高齢化に伴い、複数の医療機関から多種類の薬剤が処方される「ポリファーマシー」が副作用や重複投薬の観点から問題視されている。その解決策として、処方薬の一元管理や処方適正化を担う「かかりつけ薬剤師制度」が導入され、国民の健康維持や医療費適正化において期待を集めている。
● かかりつけ薬剤師制度の有用性分析:大規模なレセプトデータの分析の結果、かかりつけ薬剤師の利用により全世代で重複投薬等の処方適正化を確認した。特に75歳以上の解析では2年入院リスクに差はなかったが、死亡割合において1.2%の低下(非利用群8.6%に対し利用群7.4%)が認められ、この傾向は心不全の患者集団でより明確に確認された。
● 保健事業への示唆:かかりつけ薬剤師制度の有益性と効果的な運用のあり方を検討する重要性が示唆された。実際の保健事業への反映にあたっては、データに表れない背景要因も考慮し、費用対効果のみにとらわれない多面的な視点での検討が求められる。
※池谷 怜 先生の講演内容より抜粋
基調講演Ⅱ:朝食抜き・遅い夕食と骨粗鬆症リスク ~骨の健康を食習慣から考える~

(奈良県立医科大学 糖尿病・内分泌内科学講座 助教 中島 拓紀 先生)
中島先生からは、DeSCヘルスケアの大規模データベース(1,100万人規模)を活用し、「食習慣と骨粗鬆症性骨折リスク」の関連性についてご解説いただきました。
【講演概要】
● 骨粗鬆症性骨折が及ぼす影響と予防の重要性:骨強度の低下に伴う脆弱性骨折は、日常生活動作や生活の質の低下、さらには死亡リスクの上昇を招く深刻な問題である。日本の高齢者における寝たきりの原因第3位(13.9%)が転倒・骨折であることから、骨粗鬆症予防は健康寿命を維持するための極めて重要な課題である。
● 朝食抜き・遅い夕食と骨粗鬆症性骨折リスクの関連分析:約93万人のデータを平均2.8年追跡した解析の結果、週3回以上の「朝食抜き」は骨折リスクを1.18倍に「遅い夕食」は1.08倍に、それぞれ有意に上昇させた。さらに、これら2つの不健康な食習慣が重複した場合、骨折リスクは1.23倍へと相加的に上昇するという知見が示された。
● 保健事業への示唆:レセプト・健診データを用いることで、食習慣と骨粗鬆症性骨折リスクとの関連が明らかになり、食習慣の改善を通じた骨折予防対策を検討する重要性が示唆された。生活習慣の改善指導にあたっては、食事の是正がもたらす栄養や代謝への影響に留意しつつ、禁煙や運動習慣なども合わせた包括的な取り組みが期待される。
※中島 拓紀 先生の講演内容より抜粋
【まとめ】
ご参加いただいた皆様からは「かかりつけ薬剤師の役割や年齢層に応じた費用対効果を学べて非常に参考になった」「不健康な食習慣の重複と骨折リスクとの関連について、根拠が示されていて納得できた」「具体的な指導方法が示され、保健指導に活用しやすいと感じた」といったご好評の声を多数いただきました。
弊社では今後も、エビデンスに基づいた保健事業の実践に役立つ情報提供やセミナーを企画してまいります。
<開催情報>
開催日時: 2026年7月13日(月)14:00〜15:30
タイトル:エビデンスに基づく効果的・効率的な保健事業の実践セミナー
形式: オンライン(Webセミナー)
主催:株式会社データホライゾン

